本書の概要
著者:ダニエル・ピンク
- ノースウェスタン大学卒業、イェール大学ロースクール修了
- 米上院議員の補佐官、ロバート・ライシュ労働長官補佐官兼スピーチライターを経て、1995~1997年はアル・コゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた
- フリーエージェント宣言後は、ビジネス・経済・社会・テクノロジーをテーマに、記事や論文の執筆、講演などに従事
- 世界のトップ経営思想家を選ぶ「Thinkers50」の常連で、2021年のランキングでは9位に選出
※「THE POWER OF REGRET」のカバーのそでより抜粋
本書の狙い
後悔は悪いものではなく、自分の成長のために真摯に向き合うものだと読者に気づかせるのが本書の狙いです。
例えば、「後悔」という言葉には一般的にネガティブなイメージがあり、多くの人は「後悔しない人生を」と考えるでしょう。
しかし本書では、後悔があるからこそ成長し前進できると述べています。
また、後悔とはどういう感情なのか、後悔はどういう原理で感じるものなのかを実例や研究と共に解説されています。
構成
本書はPART1~PART3の三部で構成されています。
PART1
PART1は後悔のマイナスなイメージを払拭する章です。
「後悔しない生き方」は危険なこと、ネガティブな感情の大きなメリット、後悔は人生を有意義にするために必要であるといったことが述べられています。
PART2
PART2は後悔の本質にせまります。
「後悔」は4つの深層構造から成り立っていることを説明し、後悔という感情の正体を解説されている章です。
PART3
最後のパートはPART1とPART2を踏まえた、後悔との向き合い方が述べられている章です。
過去の過ちなどに向き合い、自分の成長や未来に活すための具体的なテクニックも解説されています。
要約
後悔することのメリット
意思決定の質が向上する
「今思えばあの判断は良くなかった」と振り返ることで、今後の判断の基準が洗練されます。
例えば、自宅で簡単にヨーグルトが作れるヨーグルトメーカーを買ったとしましょう。
最初の1週間は張り切って使いますが、そのあとは全く使わずほったらかしです。
そこそこ場所も取るため置き場にも困り、「買わなきゃよかった」と感じます。
その経験から、流行りのものを見て「欲しいな」と感じた時に「ほんとに必要か?ヨーグルトメーカーみたいにならないか?」と冷静に考えることができます。
パフォーマンスが向上する
ある行動に対して「もし○○していれば・・・」と考えることで、その行動に対するパフォーマンスが向上します。
テニスの試合で負けた時のことを考えてみましょう。
試合中の場面をいくつか振り返り、「あの時にあのコースに打てていれば勝てたかもしれないのに」と後悔をすると、今後の練習でそれができるように練習するはずです。
そしてそれがパフォーマンスの向上につながります。
単純なことだと感じるかもしれませんが、プライドが高かったり負けを認められないと上手くいかないでしょう。
人生が有意義になる
人間関係や自分の人生について後悔の感情を抱くと、人生が有意義なものになります。
本書で紹介されている例を拝借すると、
「いちばん後悔しているのは、祖父母の人生の物語を聞かなかったことです」と、アビーは私に語っている。
しかし、その後悔をきっかけに、両親に対する姿勢が変わった。
「THE POWER OF REGRET」77ページ
とあります。
祖父母との関わりを避けていたのを後悔したことで、両親とのかかわりを深めようと気持ちが変化した例です。
また、「今までいろいろ挑戦していたら、今の人生はもっといいものになっていたかもしれない」と後悔すると、今後チャレンジ精神をもって行動するきっかけにもなるでしょう。
過去の過ちや後悔と向き合うためのテクニック
セルフ・ディスクロージャー
この方法は自分の後悔の念を紙に書きだしたり、声に出して録音したり、誰かに話したりする方法で、本書では「自己開示」とも言い換えられています。
こうすることにより精神的な落ち着きを得られ、自分の後悔について理解が深められます。
セルフ・コンパッション
自分と同じ後悔を抱いている友人や家族からそれを打ち明けられたとき、親切に接することをイメージし、それを自分自身に向ける方法です。
また、自分の過ちや後悔は他の人も似たようなことを経験していることを思い返すこともポイントだと述べられています。(詳しくは本書を読めばわかるでしょう)
私の解釈では、セルフ・コンパッションは「自分を励ます、自分に共感する」ことだと解釈しています。
セルフ・ディスタンシング
この方法は、自分を客観的に、俯瞰的にみる方法です。
例えば、主観で自分の後悔を説明するときは「私は○○したことを後悔している。」となります。
セルフ・ディスタンシングは自分に向けて「あなた(自分)は○○したことを後悔しているようだ。もっといい行動をするためには何をするべきだったか」と第三者の視点で捉えることがポイントです。
こうすることで冷静に自分の感情や行動を分析し、意思決定の質の向上やパフォーマンスの向上につながります。
感想
参考になった点
成長するためには後悔と向き合い、分析することが必要不可欠なんだと学べました。
また、後悔を活かすためには主観に振り回されずに自分を客観的に観察することが重要だとわかった点もよかったです。
私の一番の後悔は、大学時代に自己投資(読書)をしなかったことです。
もしあの時から少しでも多く本を読んでいたら、いまはもっといい人生になっていたんじゃないかと悔しさを感じます。
私はあと数年で20代が終わります。
30代に突入する前に、これまで何に後悔してきたかを一度振り返りたいものです。
まとめ
後悔は決して悪いものではなく、自分の成長のためには必要不可欠な要素です。
しかし、後悔との向き合い方を間違えてしまうと自己肯定感が低下し、人生の質も下がってしまいます。
本書で紹介されているテクニックを活用し、「あの後悔があったからこそ今がある」と胸を張って言えるようになりましょう。
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